【レポート】「GRAVITY DAZE2」メイキングに行ってきました

3/18日に行われた「GRAVITY DAZE2」のメイキングセミナーに参加をしてきました。 簡単ですがメモをとってきたので、こちらをまとめてみました。何かを参考にしていただければと思います。

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1部 - 独特の世界観を生み出したCGによる背景制作

アートディレクター、キャラクターデザイン、プレイヤーモーション斎藤俊介さん。

アンジェ - デザイン過程

前作未登場予定の敵「カウガール」がイメージで作成。

  1. ディレクター外山の要望で、天使の要素を入れて欲しいと要望あり
  2. 年齢を下げた可愛い系のバージョン「牛柄+天使」
  3. さらに甘い感じ「ミルク+チョコレート+花言葉あどけなさ」(フリージア
  4. 髪を短くカット、髪の長いキャラが多いのではと上の偉い人から言われた
  5. 最初は1人だったキャラが2人組になった
GRAVITY DAZE 2
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GRAVITY DAZE 2 | プレイステーション® オフィシャルサイトより

アートコンセプト

PSVを想定。2014年にPS4に移行することに、一から絵作りを再構築。 「 手書きのイラストのようなグラフィック」を本気で目指す。 色味と省略。イラストっぽいグラフィックの1番のポイント。メリハリ。

3種のフォグとカラーコントロールトーンカーブ

3種のフォグ

  • デプスフォグ(PS1からある基本的な技術、カメラからの距離に応じて色を変化。
  • バックグラウンドフォグ、カメラからの距離に応じて円形(空)を反映
  • ボリュームフォグ

トーンカーブによるカラーコントロール

Photoshopで絵を書く時によく使う機能。 これをリアルタイムでできるように実装してもらった。 Photoshopで絵を作る感覚でできる。 シーンごとでトーンカーブを変えていて、全部で40個くらい設定をしている。

トーンカーブ

フェイシャル

目はテクスチャの切り替え。 口はモデルの切り替え。 目、リグで制御。 MAYAで制作。

モデリング・スキニングの大幅な工数の削減。 主要なキャラだけを精巧に。モブキャラは目を閉じるだけなど簡略化。 セルアニメ風のキャラと30fpsという条件の中でベストな手法を取る。

背景Asset制作

目標

  • 少人数で、スケジュールどおりに大規模な背景をつくる
  • 手書きの表現

背景

リード1人 TA(テクニカルアーティスト)が1人 2D担当1人 描画モデル7人 コリジョン、オクルーダーが2人。

外注に特化をした最適な担当分け。(描画が圧倒的に足りない)

描画モデル7人をそれぞれ得意な担当に分ける。

  • エリア担当4人 - ラフから発注作業を行う
  • モデラーが3人。サンプルモデル、特殊モデル(スカルプトが得意なスタッフ)

スケジュールの前半はまずAssetを揃える(70点でいいので、とにかく揃える) 残った時間でブラッシュアップ、バグ修正(100点に近づける)効果の高いものから優先的に行う。 Playerが見る機会が多いアセット優先。

制作過程

コンセプトアート

細かなディティールはなく、雰囲気の共有を共有するために作成。これを参考にして後過程が進むのではない。

全体図

白黒の線画、これを使ってラフモデルを作成する。

ラフモデル

検証項目をチェックする。

  • 処理負荷
  • 外注しやすさ
  • 建物配置
  • デモ仮配置
  • イベントの配置

レベルデザインにも関わる部分が多いが、背景班が行った(通常プランナーだが) 適当なモデルではなく見た目以外の検証を全て洗い出しておく、一番大事で難しい作業、1番時間作って行う。

工数

ラフモデルから、細かくアセットを選別しいく。 このリストを元に、工数を弾き出す。 他のエリアで似たようなモデルを作っていないかを判別。

外注する内容

主要なモデルは内部のスタッフが制作する。 パターン違いや、単純作業は全て外注。

納品、組み込み

完成した建物をラフモデル上の仮Assetと差し替えていく。

調整

コリジョン、オクルーダ、LODの調整。 専門の担当がいるのでAsset作成と同時進行で進んでいく。

Asset管理

5000を超えるAsset数。 専用なツールを用意。 画像ビューア。エクスポートされたファイル情報など。 エフェクトもこのツールで管理配置。

外注総行数

5710人日 = 272人月(1人月21人日で計算) エリア担当4人 * 18ヶ月 1人のスタッフが一ヶ月に平均3.8人月発注していた。

手書きのような表現をどのように実現したか

円形の空。実際に手で書かれている。 エリア毎に固有の絵、100枚ほど。Photoshopで手書き。 人によって癖が出るので、1人で作成。茂木さん。 キュープマップに変換する必要があるので、Mayaでスフィアに貼り付けて6枚に書き出した。 キューブマップは3枚のテクスチャで構成。なじませるため、上下の空の間に1枚調整用のテクスチャがある。

写真素材を使って手書き風に加工

PS4になって解像度が上がっている。 陰の成分を減らして。 前作の重厚な暗いイメージではなく明るい。

アクション

  1. 白黒
  2. ノイズ軽減
  3. ハイパス
  4. 平均化
  5. 液状フィルム(2回)
  6. 2階調化
最後に2階調化の画像をパス化

カスタムシェーダー

ただAssetにテクスチャを貼り付けただけにしたくなかった。 実際にはRepeatしてテクスチャを張っただけだが、シェーダーを使うことで形状に合わせて固有なものなった。

作成環境

最適化

自動化する所は自動化。 アーティストはクリエイティブなことに時間をかける。 最適化、見た目は変わらないが、大変な作業である(でも必要)。

例、ネジやボルト

別のサブメッシュにし専用のアトリビュートを設定する。 MAYAでの作業。 これを行うと、カメラ位置から遠くになると、他の部分より早く消える。 クリエイティブな発想の必要ない部分の一つ。 5000以上のAssetもあるので、作業時間が短いと言えど時間がかかる。

定義に変更が入ることがある

プログラマやプランナーなどから、メモリや負荷のため、以前行った作業をやり直しが出る場合がある。 アーティストは見た目をこだわる職種だが、このような作業で時間を取られるのはよくないので、アセット最適化ツールを作った。 多岐に及ぶ最適化を行う。 自動的に、Assetを選んで定義変更を行うので、一度Assetをコミットすれば、アーティスト側でな何もしなくてよい。 Assetによっては、1/4まで軽減することができるものもあった。 20秒ほどで完了。 自動化をすることでデータに一貫性を持たせることできる。 ただ、例外的なアセットは無理に自動化しない。(水面など)

まとめ

海外の大作の真似にならないように。 技術は目的ではなく手段。 まず「作りたい絵」があり、それを実現するために新旧の技術を使う。

2部 - アニメーションメイキング

『GRAVITY DAZE 2』スタジオカラー制作のスペシャルアニメで前日譚が描かれる! 参加スタッフも一挙発表|ゲーム|ローチケHMVニュース ・SIE 若家佐恭介 アソシエイト・プロデューサー ・スタジオカラー 小林浩康(監督)
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GRAVITY DAZE The Animation 〜Ouverture〜 企画の経緯

コザキユースケ氏経由。 2012年秋ぐらいに個展で知り合った。 「GRAVITY DAZE」はアートワークを頑張っている作品、PSVをそれで買った。

『魔神STATION』のPVでコザキユースケ氏と知り合った。 2015年夏、ゲーム内のムービーシーンを取る必要がある。その依頼先を探していた。 今回のセミナー主催のTooさんにMayaの環境を作ってもらった。 スタジオカラーはずっと3DMaxでやってきたが、色々問題があり。 そのとっかかりとして、ゲームのアニメーションをお手伝いをした。 ゲームのPRの一環でSIEで「アニメーション制作」が決まった。 ゲームとアニメの2本立てになる。 SIE側でシナリオのプロット脚本を作った。2015年の年末ぐらいまでかけて。 年明け、絵コンテ、夏に作画。

全編通してよく動いて、楽しく、 日本のアニメーションらしさを全面に出して欲しい。 普通では作りれない絵がみたい。

アニメは間引いていく文化、ゲームに勝てない部分がある。

コラボで大事なのは、両方の良い物が出て、クリエイターの色を追加して欲しい。 そうなることで、新しく見てくれるファンが増えていく。

3DCGの進化で、ゲームとアニメの親和性が高まっている。 Assetを共有して、ゲームとアニメで展開できるようになると夢がある。CGベースで作るメリットがある。

スタジオカラーは、人数規模がないので、色々な制約がある。

メイキング

作画監督 松井さん。 「絵作り」の話をしたいと思います。

スタジオカラーを始めアニメ会社は3DMaxをメインにしている所が多い。 「GRAVITY DAZE」のモーションを「Maya」で作っていたこと、3DMaxをメインツールとする制作会社とのスケジュールの都合がつかなかったことがありMayaを使った。 制作会社を含め20名くらいで作成。

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不安点

Mayaのノウハウのあまりない。 3DMaxのような臨機応変に対応出来るか。 カットごとにオブジェクトを調整したい。力技でガチガチできないかも。

ゲームからのアセットデータ

背景モデルとキャラ、モブキャラはゲームのAssetを流用。 ただ、メインキャラは作り直した。 マテリアルを直して、ラインがでるように。

キャラデザイン

アニメならではの表情付け、カラーのセッティングなどが必要。 池田由美さん。 斎藤さん(SIE)の絵からアニメ絵を起こす。 等身とか含めてアニメに落とし込む。

敵キャラ 出渕裕さんにデザインを起こしてもらう。 ちょうど、パトレイバーのアニメを作っていたので頼んでみた。 当初デザインが細かすぎてアセットモデルに起こせないかも。 色々と間引いて調整。 他のキャラとの関係性もあるので。

キャラクターモデリング

浅井真紀さん。原型師さん。メインで進めた。

リグ(セットアップ)

アニメーションで一番こだわりたい部分。 顔は特に、モフを少なくして、リグで表情したい。 関節補正、これを設定しないと折れたストローみたいになるので、重要。 ところどころエッジをたたせることができる。 自由度が高い、嘘の関節でも良いので入れる。

パーツを維持したまま、パーツを動かしたい。 自分の感覚で表情を作る。モフと違う。 サブリグ、輪郭周りに。 これもエッジを立たせるように。

陰がない、シルエットがないので、自由にできる。 違う角度から見るとドンでもないシルエットになる。

レイアウトとアニメーション

アニメーションの特徴
  • フレーム数が少ない
  • 止めを意識、ポーズで見せる
意識したのはアングルからの絵作り。 コマの使い方。

絵コンテ 雨宮哲さん。

レンダリング後のシーン色変更

レンダリングを先にするし、色は後で調整。 スポイトを使って、指示された色へ置き換えていく。

エフェクト

Mayaで作るのが難しかったので3DMaxにもっていた。 動きだけを、アレンビックでMaxに書き出し、3DMax内でエフェクトを追加する。 エフェクトはオブジェクトで作成している。

まとめ

ソフトにとらわれず、それぞれの利点を引き出して、良い作品が作れるようにする。 エヴァの劇場版を絶賛製作中です!

感想

最近まで遊んでいたゲームでしたので、セミナーを、どこがどうなっているのかを想像しながら聞くことができました。 「絵作り」に関しては、とても気になっていたのでそのあたりを少しでも知ることができて良かったです。 Mayaと3DMaxに関しては、どちらも同じようなツールだと思っていたのですが、それぞれできることが違っているみたいで、そのあたりよく知らないので勉強してみようと思いました。

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