【レポート】東京ゲームショウ2014 「国際会議アジア・ゲーム・ビジネス・サミット」を見に行ってきました。

東京ゲームショウ1日目に行われました「国際会議アジア・ゲーム・ビジネス・サミット」に参加をしてきましたので、そのレポートを書いていきたいと思います。

ジャパンコンテンツ争奪戦 ~日本のゲームタイトルは本当に魅力的なのか?~

[登壇者] 〔日本〕GREE(グリー) 取締役 執行役員常務 青柳 直樹氏 〔日本〕ディー・エヌ・エー【DeNA】 取締役 小林 賢治氏 〔韓国〕GAMEVIL 事業開発本部 本部長 VP / GAMEVIL JAPAN 代表取締役社長 李 京一(イ・キョンイル)氏 〔中国〕盛大游戏(シャンダ・ゲームズ) 総裁 銭 東海氏 〔インドネシア〕XL Senior GM Digital Entertainment Revie Sylviana氏 〔シンガポールTheMobileGamer© CEO Alvin Yap氏

各国のトレンド

[インドネシア] モバイルの普及率が120%を超える。インドネシアの人口が2億5000万人以上なのでとても大きな数字です。 OSのシェア率は、Androidが40%と一番多いです。次がBlackBary。 モバイルを含めインターネットに触れている期間が短いので、今後スマートフォンを使いこなしていくには時間が必要になる。 ダウンロードされているアプリの70%がゲーム。ジャンルはFPS,RPG,カジュアルが多いみたいです。 支払いに関しては、クレジットカード決済が20%とのこと。プリペイドでチャージをして利用している人がほとんど。

Sylviana氏の会社は「gdang aplikasi」というポータルサイトを運営している。約100万人ユーザーがいる。 ここでゲームを含めてコンテンツを配信。 他国のゲーム会社を支援してパブリッシャーもしている。アプリのローカライズやプロモーションなど。 インドネシアのネット環境や端末の環境が良くないので、これを考慮してアプリを作らなくてはいけない。(ネットが遅い、端末もパワーが無い)

[シンガポール] Yap氏の会社はシンガポールというよりは、東南アジア全体(タイ、フィリピン、インドネシアなどなど)で事業を展開している。 東南アジアでNO1のパブリッシャーを目指している。 これからインターネットに初めてふれる人が多い新興国が、スマートフォン市場の次の成長先。凄くチャンスがある。

auスマートパスのように、月額で遊べるサービスを展開している。 これからの国は新しいユーザーなので「何が面白いか」「どのアプリが良いか」を知らない。そこで月額20㌣で、100本のアプリを使い放題できるサービスを提供している。

3ヶ月でGooglePlay以外では最も大きなデベロッパーになった。 タイ・インドネシアではゲームアプリがいまブームみたいです。

[中国] シャンダ・ゲームズはMMORPGを運営している会社。 今はモバイルゲームにも進出し、日本のコンテンツも配信をしている。

中国のモバイル市場は凄まじく成長している。 GooglePlayがないので、AndroidMarketが100個以上ある。この中からどのように配信をしていくか。 また、中国政府がモバイルゲームの規制を強化してくるだろう(現在MMOやコンシュマーゲームでは規制が入っている) IPが重要。

[韓国] GAMEVILでは主にRPGとスポーツのアプリを展開している。 韓国だけではなく海外の売上多い。現在は世界展開を最初から考えてアプリを作成している。 他の企業と連携してアプリも開発している。

韓国市場はクレジットカードの普及率、ネット環境も良い。

[日本:グリー] 今年で10年を迎えるグリー。 現在約2割の社員が海外の拠点にいる。 1000人以上の体勢でネイティブアプリを開発している。

その他Gumiに出資をしている投資事業や新規事業がある。 今年から原点回帰を行いゲームアプリの開発に力をいれている。

アプリ開発のスタートアップが減ってきている。開発費の増加が関係しているのでないか。 それなりにお金をかけないとヒットしにくい環境になっている。

[日本:DeNA 色々な事業を行っているがゲームを主力事業としてやっている。 日本・中国・米国に開発拠点。独自に開発・運営を行っている。 また、外部パブリッシャと連携してアプリの配信も行っている。

国内のトレンド リアルタイム系の遊び方が増えてきた(モンスト)。みんなで持ち寄って遊ぶ。リアルタイムはコアによりになりがちだが、「モンスト」はカジュアル層にも受け入れられていきている。 運用の重要性ガンホーさんを例に上げると「パズドラ」のランキングが全然落ちない。出して終わりなのではなく、その後の運営が非常に大切になってきている。 短時間に高頻度にログインをさせるゲームが強い。

日本のコンテンツは魅力的なのか

インドネシア インドネシアは多文化の国、12歳〜36歳が主なスマートフォンユーザー。漫画・アニメなど知っている層。またJKT48が最近とても人気。

シンガポール 日本のコンテンツは東南アジア(特にインドネシア、タイ)総じて人気がある。それに伴いコンテンツより、海賊版が先に来ているので、余り活かしきれていない。

[中国] 日本のコンテンツはしっかりと商品化しているし、とてもわかりやすい。 ただそれをそのまま中国に持ってくるのは難しい。しっかり中国人にとってわかりやすいようにローカライズ・カルチャライズをする必要がある。 「拡散性ミリオンアーサー」は知名度がないので、事前のプロモーションをかなりしたとのこと。

[韓国] 漫画・家庭用ゲーム・スマホゲームともに人気。 ただ、韓国ではゲームは社会悪だという認識がある。あまりよい印象がない。 またコンテンツの量にも問題がある。韓国ではゲームを進めるスピードが早く、日本で1ヶ月を想定していたものが2日で終わってしまうこともある。

[日本:DeNA 中国では、現地流に切り替えてコンテンツの配信をしている。 日本に比べて、コンテンツの消費スピードが早い。 また、日本以上にIPが大好き。なので、初速が早い。トランスフォーマーのアプリを米国で開発して中国でカルチャライズした。

ゲームの楽しみ方が国ごとに違う。 日本:グループで協力して行う 韓国:とにかくスピード。 中国:アクション性、操作性、音楽を重視している

課金について

シンガポール] クレジットカードの普及率がとても低い。また課金に身近なものでない。 プリペイドスマホを使って、少額の金額をチャージしながら利用している。 ローカライズだけではなく、このようなマネタイズに関しても考えないといけない。

インドネシア 東南アジアへは1〜2年後に参入する方が良いのではないか。 お金の利用できる中階級層が増えてくることが今後予想されている。またインターネット環境もLTEの導入など改善するのではないか。

海外で企業を提供する際の準備

[中国] ガチャの文化がないので、それをどのように利用させるか。カルチャライズをして中国市場に合わせられるか? それには中国のゲームを実際に遊んで、どのようなものか理解をして欲しい。どうして〇〇なのか?などを考えて欲しい。

シンガポール 日本のアプリは常に準備をされているが、タイミングが大事。

インドネシア 言語の問題。テキスト量が多いなら翻訳をする必要がある。 ただ、少ない場合は英語のみでも大丈夫。

[韓国] コンテンツの管理体制。 特にIPを使ったゲームの場合アプリを作成しても、日本でのテストが必要となってくる。実際に配信するまでの手続きが多すぎる。 現地のパブリッシャーをもっと信頼してもらいたい。

[日本:DeNa 現地の拠点、またはパブリッシャーを信用できるか?

またマーケティングが日本とぜんぜん違う。 例えば日本ではCMをある程度ヒットしてから利用することが多い。また、日本のテレビはチャンネル数が少ないのでCMを見る人が多い。 逆に、海外ではリリース前のプロモーションが大事なので、リリース前に利用する場合がある。

またゲーム文化も違う。 日本ではコントローラーを使い慣れているが、韓国ではマウス・キーボードが主流。

[中国] 有名なIPでない限り認知度はないので、事前のコミュニティー作りが大事。

2015年への抱負

インドネシア よりアグレッシブにゲームを展開していきたい。またパブリッシャーとしても色々なところと協業したい。

シンガポール GooglePlayより優れたプラットフォームにしていきたい。

[中国] 日本のタイトルを多く手がけ、パブリッシャーとしての地位を確立したい。

[韓国] グローバルに展開していきたい。また日本のIPとパートナーシップを結びたい。

[日本:グリー] ネイティブアプリを通じて、モノを作り、また新しい遊びを提案していきたい。

[日本:DeNA 海外へのパブリッシャーとして、日本から出る時のお手伝いをできるようにしたい。 また、コンテンツを作る人にお金が返ってくる仕組みを実現できないかを考えていきたい。

最後に

今回はスマートフォンゲームの海外展開のお話で、現在の私には少し遠い話でした。 海外で本格的に売りこむには「カルチャライズ」がとても重要になってくるのだと話を聞いて感じます。また、IPを使ったゲームが海外では人気があるようです。日本のコンテンツの力はとても大きいと感じました。

東京ゲームショウの基調講演の記事はこちら。】

【参考】 【TGS 2014】争奪戦が始まるジャパンコンテンツ ゲームのアジア進出はいまどうなってる? | インサイド

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