「ずる 嘘とごまかしの行動経済学」を読んで

人は、犯罪というまでではなくちょっとして「うそ」や「ごまかし」をします。 私も、自分を誇張したり、正当性を保つためにちょっと「数字を盛る」ことをしたことがあります。 今回の本は、どのような状況で人はこのような「ずる」をするのかを行動経済学に基いて説明をしています。

ずる 嘘とごまかしの行動経済学

人が「ずる」をする時には以下の様なことを考えます。

  • 犯罪から得られる便益
  • つかまる確率
  • 捕まった場合に予想される処罰

読書メモ

人は「そこそこ正直な人間」という自己イメージが保てる水準まで、「ごまかし」をする。 人は金銭でないものを前にすると、本物の現金を前にしたときより不正をしやすい。 人の行動を変え、倫理観を高めるのは並大抵のことではなく、道徳だけでは限界がある。逆にいえば、倫理基準を思い出させるだけで、より高潔な行動をとるようになる。 企業は個人に輪をかけて合理性に欠けている。

ゴルフでの「ごまかし」は研究室での実験で見られた、「ごまかし」の微妙な心理のあやの多くが表れているようだ。自分の行動が不正行為の実行から離れている時、わかりにくいとき、また正当化しやすいとき、全ての人と同じように不正をしやすいと感じる。 利益相反。まったくの善意で行動する人も、気まぐれな人間精神に足をすくわれて、えげつない行動をとる。 人はある領域で無理をすると、他の領域で道徳心が薄れる。消耗(疲れる)と論理的思考力が低下し、それが道徳的な行動する能力も衰える。 「身なりは人を作る」偽物を身につけることは、論理的判断に影響をおよぼすようだ。 「どうにでもなれ」効果。学歴詐欺など、1つのごまかしが定着すると、そのせいで道徳的規範が緩み、他の領域でもごまかしをする可能性が高まる。

自分を欺くのは、好ましい自己イメージを保つためだ。否定のしようのない失敗は、他人や環境のせいにしようとする。 創造性と不正の関連性は、自分が正しいことをしていなくても「正しいことをしている」という物語を自分に言い聞かせる能力と関係があるように思われる。 自分の利己的な利益を正当化する、物語を考え出せるのだ。

不正は感染する。 小さなごまかしが、個人や集団に積み重なることにより、もっと大きな不正をしても大丈夫だというシグナルになる。 自分の不正で他人が利益を得る時には、自分の行動を利他的(利益を目的にしていない)なものとして正当化しやすくなるので、結果的に道徳的規範を緩めてしまう。

最後に

色々な理由はありますが、「ずる」をする要因がとてもわかりやすく書かれていました。 自分の身を振り返ってみると、確かにそういう状況では「ごまかし」をよくするな、と感じます。

私に当てはまる要因の1つは「自分を良くみせたい」と思う感情だと思います。 見栄をはって数字をごまかしたり、「うそ」のエピソードを語ったりしています。 他人と比較をしてしまうのが良くないです。 この部分は、今後良く考えて発言や行動をするように心がけます。

また、「ずる」が体や精神の疲れからも起こりやすいことが書かれていますので、普段の体調に気をつけることも大切なのかもしれません。

この本を非常にオススメです。

ずる―嘘とごまかしの行動経済学ずる―嘘とごまかしの行動経済学
ダン アリエリー,Dan Ariely,櫻井 祐子

早川書房
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