去年に引き続いて、CEDECに参加する機会をいただくことができましたので、簡単ですが参加をした感想をブログにまとめていこうと思います。 今年は3日間全て参加をし、主に現在の業務範囲である「UI」に関してのセッションを見てきました。
CEDEC2018
今年のCEDECも去年と同じでパシフィコ横浜で行われました。
3日間たくさんのセッションがありました。 詳しくはこちらのHPから確認をしてみて下さい。 CEDEC2018
私が見たセッション
たくさんのセッションのなかで、私が見に行ったのは次になります。
- どこから作ればいいんだろう?から10年」
- 明快で軽快なUI 『Nintendo Switch 本体機能』の制作事例
- D×2真・女神転生リベレーションでの新しいUIデザイン制作方法の試みと発見
- 「D×2 真・女神転生リベレーション」におけるアニメーション制作事例〜184体の魅力ある悪魔アニメーションを少人数+アウトソーシングで短期間で制作するヒント~
- 新規ゲーム立ち上げ時にUI・UX特化エンジニアをアサインするべき理由 〜戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITEDにおけるUI作成の高速なワークフロー〜
- 進化し続けるSINoALICE -シノアリス-/バトル演出の裏側
- ソーシャルゲームで表現するディープな世界観
- バンダイナムコスタジオによるキャラクターライブへの挑戦
- プリンセスコネクト!Re:Dive 制作事例 ~UIを高速かつ高品質に作るためのプロトタイプ開発のススメ!~
タイムシフトが今回見えるレギュラーチケットということもあり、どうしても生で聞きたいセッションを選びました。 見てわかるように「UI」に関するセッションが多くあると思うのですが、これは現在の業務にすぐに活かすことができる分野ですので、優先的に見に行きました。 その他、聞きたかったセッションは「モンハン」のセッションでしたが、これはタイムシフトで見ようと思います。
どこから作ればいいんだろう?から10年」
任天堂の宮本茂さんの基調講演です。 10年前に同じCEDECで行われた基調講演から振り返って、現在のゲーム環境がどのように変化をしたのか、それを踏まえどのようにゲームを作成したらよいのかを聞くことができました。
こちらの基調講演については色々なメディアがまとめていると思いますので、内容はそちらを確認していただければと思います。 個人的には生で宮本さんを見ることができてそれだけで満足をしました。 一部面白い話はアイデアについて。
アイデア
良いアイデアと思うか、ボツにするかの違い。 駄目なアイデアに、「なぜ駄目か」をラベリングしておくのが大事。 何かに閃いたときには、その駄目になったアイデアの問題が2つや3つ解決されている。それが良いアイデアになる。 没アイデアの引き出しが多い、もしくは同じような没アイデアをもっている(似ている)人が周りが多いと閃きやすい。
今の技術ではできないことが、今後ハードが進化する、もしくは新しいインタラクティブができるようになり実現ができることがあります。 例えば、マリオ64でできなかったことをマリオオデッセイでは実現することができたなど。
明快で軽快なUI 『Nintendo Switch 本体機能』の制作事例
今回のCEDECで一番勉強になったセッションがこちらです。 ゲームもしくはスマートフォン向けのUIの話ではなかったのですが、今回話しをいただいた内容はどこでも使うことができると思いました。 UIに関しては機能や見た目が注目されがちなのですが、今回の話はそれよりも前の論理的な話でした。
- 数を意識させるために、入力画面では電話番号を○桁で区切るようにして、少なくする
- 「ななめ読み」はじめと終わりだけを見れば主題がわかる文章構成に心がける。
- 同じ見た目は同じ効果音
- 「質問で返すことはやめている」擬人化をすると、よいコミュニケーションになる。
別の話で、UIにはテクスチャは極力使わずにシェーダーを作って作成しているなどの話はとても興味深かったです。
スライド
内容もそうだったのですが、スライドがとてもわかりやすくできていたことも印象に残りました。 文字を多くせず、また適度なアニメーションを使っているので見ていて楽しかったです。 これは、実際に動画で見ていただけるとその素晴らしさがわかると思います。
話の仕方
これは去年も感じたのですが、講演者の方の声が大きい、またゆっくりと話しをされていました。 マイクがあるとはいえ、声の大きさを保つことはすごく難しいと思うのですが、相当裏で練習をして本番に挑まれているように感じました。 ただ発表するのではなく、会社としての姿勢が伺えました。
最後に
任天堂のセッションは基調講演を覗ければこちらだけでしたが、とても素晴らしい内容でした。 業務にも活かせる内容もたくさんあると思いました。
D×2真・女神転生リベレーションでの新しいUIデザイン制作方法の試みと発見
ユーザーテストについての話がとても面白かったです。 UIに関しては、これがユーザーにとって正しいと思って実装を行うのですが、それをリリースするまでに確認をする必要があると思います。 できれば、開発初期段階からテストを行うことで、再実装やデザインのやり直しをする手間が少なくなります。
今回ユーザーテストを行ったきっかけが、新しいデザインに対して正しいUIだと証明するために行ったということも面白いところでした。 モバイル(特にソーシャルゲーム)では、すでにたくさんのゲームが世の中にあります。 それらを参考にすれば、あまり時間をかけることなくユーザーが迷いにくい(慣れた)UIを作成することができます。
ただ、コピーをしているだけではUIデザイナーとしては先細りとなるので、今回の事例では新しいUIにチャレンジ行い、そのためにユーザーテストを繰り返しとのこと。 私はデザイナーでないのですが、エンジニアも新しいことにチャレンジをしていかないといけないと思っているので、時間を作っていきたいと思いました。
ユーザーテストでわかったこと
「縦型のゲームでは中心を見られることが多い」 また、同じようにゲームスピードが上がれば上がるほど中心に視点がいくとのこと。 それを利用して、本作では中心部分に決定ボタンを配置をすることにしたそうです。
「D×2 真・女神転生リベレーション」におけるアニメーション制作事例〜184体の魅力ある悪魔アニメーションを少人数+アウトソーシングで短期間で制作するヒント~
こちらはセッションは内容を誤って見に行ってしまいました。 アニメーション作成方法ではなく、外注さん選定から、やり取りの工夫などの話でした。 直接参考にできる部分はありませんが、話自体は面白かったです。
新規ゲーム立ち上げ時にUI・UX特化エンジニアをアサインするべき理由 〜戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITEDにおけるUI作成の高速なワークフロー〜
このセッションでは、「UI・UX特化エンジニア」の必要性について語られていました。 ゲームを作成する際には、それぞれの得意分野に特化をし分業制を行っているところもあると思います。 よくあるのはサーバーとクライアント側を分けて実装をする。クライアントでも、通信部分やAsset周り(UnityだとAssetBundle周り)、3D関係でそれぞれ特化をしている場合はよく見かけますが、今回のようにUIに特化をしたエンジニアというものは珍しいと思いました。
進化し続けるSINoALICE -シノアリス-/バトル演出の裏側
Spineでアニメーションを実装。 型にはめて簡略化
- デザイン(等身)
- 画像(最大サイズ、パーツ)
- 動き
シノアリスのデフォルメは「等身・足」が長い。 敵も同じように色々と共通化を行っているが、最近例外のキャラクターが増えててきたので問題になりつつある。 3Dモデルを使っていない理由として、キャラクターの平等性が担保できなくなるといった話はとても新鮮でした。
ソーシャルゲームで表現するディープな世界観
シノアリスのUI設計についてのお話でとてもおもしろかった。 特にFF的な色使いを避ける理由が「FFやドラクエとは戦いたくないので差別化しよう」というプロデューサーのヨコオさん意見があったことです。 UIはゲームの中で一番良く見かける場所でもあるので、そのゲームの世界観を作るためにしっかりとした「ルール」「コンセプト」を決めるのが必要です。 本作では、過去のヨコオさんの作品、および指定されて「テラバトル」「斑鳩」をもとに、「グランジテイスト」をデザインのコンセプトにし、「色数」を絞ったり、フォントを工夫したりしたそうです。
バンダイナムコスタジオによるキャラクターライブへの挑戦
キャラクターライブの開発環境
- UE4 or Unity
- VICONの光学式モーションキャプチャ: VICON | モーションキャプチャ | 三次元動作分析システム
光学式モーションキャプチャを使う理由は「安定性」と「動きのクオリティ」だそうです。
プリンセスコネクト!Re:Dive 制作事例 ~UIを高速かつ高品質に作るためのプロトタイプ開発のススメ!
プリンセスコネクトRのUI周りに関しては、現在ダウンロードできるどのソーシャルゲームより優れていると思っているので、今回のセッションはとても楽しみでした。 感想としては、ゲームの世界観やゲーム内容をよく理解し考えて作成されているのだと思いました。
周回ゲーム
タップ数や指の移動量までを考えて作られていると聞いて、今自分が作っているUIはどうだったのかをちょっと考えました。 デザインや機能だけではなく、こういったことまでを考えられているのはとても凄いと思います。
迷わない設計」
ゲームをされている方ならわかるのですが、本作のUIはとてもサクサク動きますし、特定の場所以外からでも必要な画面へ遷移をすることができます。 本セッションで「遷移に行き止まりがない」と話をされていたのですが実際にその通りだと思いました。 ポップアップを有効活用とそのためにベースの画面は昨日に対して1つにする方法は、少し形は違いますが個人的には私も実践出来といると感じました。
世界観
悪目立ちにならないUIはとても大事です。 木を見て森を見ずにならないように気をつけようと思いました。
最後に
UIは「世界観」「ゲーム内容」で作りが変わってくると思いますので、プリンセスコネクトRのUIが素晴らしいといってもまるまるコピーをすれば良いよいうわけではありません。 特に、ゲーム内容によって設計をするといった点は実践ができていないことが多いと感じます。 他のゲームはこうだからではなく、自分のゲームを深く考えてUIを作成できるようにしたい。
その他 CEDECの写真
メイン会場
トートバックの引き渡し所とUnity社提供の無料WiFi
Unityブース。 今年はTシャツゲットできました!